羽衣歌子さんの代表曲「女給の唄」、昭和6年(1931年)発売。
いまどきのパソコンは「じょきゅう」と打っても変換できませんが・・・・。
「わたしゃ悲しい 酒場の花よ 夜は乙女よ 昼間は母よ」というフレーズがなんともいいです。悲しいと言いながら、羽衣さんはにこにこして歌っている。
羽衣歌子さんはずっとソプラノ独唱といった感じの歌い方を貫いた人で、まるきりクラシック調で朗々と歌っています。その傾向は、晩年ほど強くなっていった感じがします。
オリジナル原盤では、結構単調な感じで歌っているのです。
コミカルに編曲したつもりなのだと思います。
1975年、舞台活動の最晩年のテレビ映像では、もっとずっと練りあがっています。後半になるともう、確信犯的に伴奏を度外視して独特のリズムをとって、伴奏に合わせさせている感じが、なんとも良いです。
1971年の映像は、75年ほど自由奔放でもありませんが、途中で歌詞を忘れてそのままオンエア。でも、羽衣さんだと気にならないです。そんなことはどうでもいい、気持良い感じ。
結構笑えてしまうのは、田谷力三さんと羽衣さんのデュエットで「美しき天然」。羽衣さんが独自の展開をみせているのを、田谷さんがなんとか伴奏に合わせようとして、最後はどんどん盛り上がってしまうという・・・これも楽しいです。
ところで、例の食堂に昼ごろいくと、羽衣さんそっくりの店員さんがおられて、女給の唄を歌いだすんじないか、といつもドキドキしております。