水滴を輸送できる自己組織化膜マイクロチップ

休止していた研究紹介を、ぼちぼち再開しようかと思います。

休止していた理由というのは、自分の商売にあまりにも近いものを取り上げると、こちらが考えていることが透けて見えてしまい、ライバル社に作戦を読まれてしまうのではないか、ということです。かといって、遠いものを取り上げてもあまり仕事の役に立ちませんし、細かいことまでは理解できないですし。

しかし、少し休んでみて、上記のどちらでもないような、自分の仕事に直結するわけではないけれども、何かヒントになるようなもの、というくくりで行けば、多少取り上げてもいいかと思い直して。

Lab on a Chipというチップ専門誌の最近の号。

A microchip fabricated with a vapor-diffusion self-assembled-monolayer method to transport droplets across superhydrophobic to hydrophilic surfaces

台湾のグループです。

シリコンウエハの表面に疏水的な自己組織化膜を作るんですが、基板にあらかじめ溝をほっておく。溝は一様ではなく、突起の多い状態から段階的に、へこみの多い状態に変化させてある。図をみれば一目瞭然なんですが、言葉だけだと分かりづらいですね。

突起の多い部分に水滴を垂らすと、疏水的な自己組織化膜と水滴との接触面積が大きいので超撥水となり、水滴は球状になります。そして、へこみの多い部分に移動していくというのです。なぜなら、へこみの多い部分では水滴と疏水的な膜との接触面積が小さくなり、超撥水ではなく通常の撥水状態となるから。水滴は球から平らになっていきます。結果的に、水滴は基板の表面を輸送されるというわけです。

具体的には、100ミリ秒で数mmくらい動くという連続写真が載っています。

なるほどという感じですが、この技術は何に使えるだろうか・・・いろいろ使えそうですが、コメントは差し控えることにいたしましょう。

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